2025年9月場所個別評価 日翔志
今場所は西前頭17枚目であり、新入幕の場所となったが7勝8敗で負け越した。4連敗スタートも翌日から4連勝し、星を五分に戻した。しかし後半戦は連敗すると14日目に負け越しが決まった。千秋楽は明生に勝って7勝目を挙げ、幕内残留に望みをつないだ。
それでは日翔志を紹介したい。日翔志は東京都立川市出身で追手風部屋所属であり、年齢は28歳である。また身長182センチ、体重154キロであり、右四つ、寄りを得意としている。埼玉栄高校では琴櫻と同級生だった。その後日大に進学し、卒業後は日本大学事業部に就職し、実業団選手として活動しながら日本大学相撲部でコーチを務めた。しかし新型コロナ禍で大会が相次いで中止となり、相撲どころではなくなったため、1年遅れて2021年に追手風部屋に入門し、同年5月場所で初土俵を踏んだ。
内容に関しては相手を見ながらの押し相撲と引き技で白星を挙げていた。印象に残ったのは7日目の朝紅龍戦と11日目の大青山戦である。朝紅龍戦は右から張り手を見せた後押し合いとなったが朝紅龍に右から張られた後押し出された。しかし日翔志も叩きを見せており、物言いが付いて同体取り直しとなった。そして取り直しの一番は今度は左から張って右を差すと朝紅龍の引きに乗じて一気に押し出した。力強さというよりも駆け引きの上手さを見せた。大青山戦は左変化を読まれ、押し込まれた。しかし右に回り込んで叩き、土俵外にかわした。取組後は「(立ち合いは)迷いました。(相手は)かますと思ったら前に伸びてきたので引き切るのは止めた」とコメントしていた。決めつけるのではなく、相手の動きを見ながら冷静に相撲が取れるのが持ち味である。また引き足の速さと横への動きの速さを見せた一番だった。場所前から左膝を痛めており、満身創痍での土俵だったが負け越しはしたものの、持ち味は十分発揮したと言える。
来場所の幕内残留は微妙だが、いずれにしても今後は幕内での勝ち越しと幕内定着が目標となる。首を痛めており、ぶちかましはできないので立ち合いの工夫が不可欠である。そして押し相撲を磨いて前に出る圧力を強くすることが課題となる。また圧力が強くなれば右差しの相撲や引く相撲が生きてくると思うので更なる地力強化を期待したい。
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