2025年9月場所を振り返って 優勝争い 優勝決定戦 大の里ー豊昇龍戦 負けた豊昇龍に関して

 負けた豊昇龍は得意の右上手ではなく左上手狙いという奇襲に出た。しかし深い位置であり、大の里に得意の右差しを許し、上体が起きた。また浅い位置だったらという人もいるが、浅い位置だと振り回すような投げは打てなくなる。もっとも前廻しが取れるほど出足は鋭くない。よって深い上手は想定通りだったと思っている。しかし大の里に上手く対処された。そして上手狙いに横綱初優勝への執念が見えたが、結果が伴わなかった。前半戦から優勝争いを引っ張ってのV逸ということで取組後は悔しさをあらわにしていたようである。

 確かに優勝同点であり、横綱としての役割は果たしている。しかし今場所も腰痛が原因だったみたいだが連敗したことは事実である。そして横綱4場所目だがいずれも連敗しており、連敗癖が治っていない。一方の大の里は今場所は連敗しておらず、4敗を喫した先場所も連敗はしなかった。そして直近4場所は連敗していない。ということで星の並びも対照的である。また豊昇龍は気持ちのムラが連敗となって表れているように見える。今場所は初日から白星を並べ、内容も厳しい相撲が多かった。しかし過去の横綱を見ても、場所を通して厳しい相撲が取れるほど15日間は甘くない。やはり以前の白鵬や照ノ富士のように、尻上がりに調子を上げていくのが理想である。また体が大きくないので15日間の精神状態の保ち方が大事になってきそうである。ハードルは高いが、稽古場での取り組み方も大事である。来場所こそは連敗癖を克服して欲しい。

 あとは優勝回数も豊昇龍の2回に対して大の里は5回であり、差がつき始めた。このままでは横綱の立場は守れても、大の里の引き立て役ということにもなりかねない。そういった点では強い危機感を持って欲しい。過去は大鵬と柏戸、北の湖と二代目若乃花など明暗がはっきりと分かれ、両雄並び立たずといった結果になることが多い。今が頑張りどころであり、来場所こそは横綱初優勝といきたいところだ。

続く